1.材料入荷
シャーリングされて入荷します。
2.検品・矯正
シャーリングしますと材料は若干のねじれが生じます。これを一本一本検品しながら矯正機で ねじれをフラットな状態に矯正してゆきます。金属板はメーカーで圧延されるとき必ずある方向 性を持ちます。この方向性を無視して加工すると加工硬化に統一性をもちませんので仕上がり にばらつきが出たり、工程中に折れたり、歪んだりしますのでこの矯正工程で材料の方向性を 統一します。
3.バネ付け
ピンセットの生命ともいえるバネをここでつけます。この工程は当社製造特許であります故詳細 は社外秘です。金属の特性に応じて方法は異なります。
4.抜型
金型で各ピンセットのおおまかな形状に抜型します。この時最終的な仕上がりを考慮して歪み、 捻れ等のマイナス要因は極力排除しておきます。
5.打型
金型で各ピンセットのおおまかな形状に打型します。 簡単に言うとピンセットの筋などをハンコで おしたように形作って行きます。内筋のある物は筋一本分ずらして型打し、4と5の行程はピンセ ットの種類によっては何度か繰り返します。
6.マーク入れ
各ピンセットの型番、当社ロゴマーク、医療器製造許可番号を打刻します。
7.折曲・溶接
折曲式はベンダーで折曲げ、併式はスポット溶接機で溶接します。両タイプともに先端に 狂いが生じないように作業します。
8.研削・整形
職人が一本一本研削砥石やヤスリ等を使い品物を仕上げていきます。ピンセットは直接人の 手に触れるものですので、人の手で仕上げなくてはいけません。 全て機械化せず職人の手によって仕上げをすることによって品物に命を吹き込みます。
9.研磨
これも職人の手によって磨き上げます。
10.検品・梱包
研磨しますと品物が熱をもちまして、先端に若干のズレがでる場合があります。 一本一本検品をしてこのズレを修正し、全体の調整をします。この段階で検査のもれた品物は 廃棄処分にされます。その後、包装、箱詰めされ出荷OKとなります。
医療用ピンセットで全工程はおおよそ57工程から73工程、また工業用ピンセットでは51工程から 62工程ほどになります。特殊な製品になりますと100工程以上要するものもあります。 機械化したことにより、工程数の圧縮、品質の均一化、製造コストの削減等の理由から販売価格を 安く維持することができました。今後は新しい素材での加工技術の開発、また現加工技術の改善に よる工程数圧縮、品質向上化、製造コスト削減、新製品開発を課題として日進月歩する医療技術、 工業生産技術に応えて行く必要があると考えます。
材料特性
13クローム鋼 (SUS420J2ハイカーボンステンレス)
硬度が高く焼入れが可能。ただし若干錆びやすく磁性を帯びる
18-8ステンレス鋼 (SUS304)
防錆製が高く磁性を帯びにくい。
チタン
耐薬品性が高く高温に強い。
磁性を全く帯びず、錆びない。
非常に軽量である。